引き続き、ドイツでのバス観察の模様をお送りしていきます。
今回は通常の都市間輸送・観光仕様の車をご紹介していきます。こうした仕様の車両は我が国のメーカーでも既に製造されていますので、輸入台数が極端に少なく、日本ではあまり見かけない車ばかりです。
①MAN Lion's coach (HD)
MAN Truck & BusのLion's coach HD仕様です!フォルクスワーゲン傘下というだけあって、どことなく日野セレガを思わせるデザインです。
こっちはちょっと前のモデルです。
フロントマスク周りのパーツが最新グループのバスとは異なりますね。
②VANHOOL Astron
バンホールのアストロンというバスです!我が国ではVanhool×Scania製の2階建てバス・アストロメガが有名ですが、所謂スーパーハイデッカー仕様がこの車となるようです。
ちなみに、ハイデッカーに相当する車としては
「アクロン(Acron)」、観光型スーパーハイデッカーには
「アストロネフ(Astronef)」、アンダーフロアコックピット仕様の
「アルターノ(Altano)」と呼ばれる車種があるそうです。
くだんのアストロンとアストロネフはほぼ同じ仕様の車ですが、色々調べていたらラゲッジスペースの大きさに違いがあるようで、アストロンの方がたくさんの荷物を積むことができるようになっているようです。このため、アストロンが長距離都市間旅客輸送、アストロネフが観光用途といった仕様になっていると想像しています。
③Mercedes-Benz Tourismo
言わずと知れたメルセデス・ベンツのツーリスモです!こちらはハイデッカー仕様となります。撮影地では、主にエアポートリムジンとして活躍していました。
ドイツは3軸車が多いので、こんな素敵なデザインも。
後輪の2軸を飛行機の車輪に見立てるというセンスに脱帽です!
④SETRA S517HD
ダイムラー傘下・ゼトラのハイデッカー3軸仕様車S517HDです。この車は観光用っぽいですが、都市間旅客輸送車にも同じ車が入っていました。全長が約14mあり、ホイールベースは約6.9m、よって回転径も約23mという驚くべき仕様で、日本のバスの仕様を知っているとすさまじい仕様に思えますw
⑤SETRA S516HD/2
前述のゼトラS517HDよりも少し車長が短く、ホイールベースが短縮されたタイプです。この車は2軸ですが、3軸の仕様もあります。ただ、どのクラスも車高はS517HDと同じく3.77mあり、車幅も2.55mで変わりません。車幅を除けば、日本でいうところのエアロキングと同等の大きさとなります(エアロキングはH3.78m)。
エアロキングのことを思うと、この大きさで1フロアかつハイデッカー仕様となれば、車内の開放感もすごいんだろうなぁと思ったりします(^^)
⑥NEOPLAN Cityliner
「おや?どっかで見たことある仕様だな」と思って近づいてみたら、やっぱりネオプランのバス。ただ、この車は日本だとほぼ見かけないハイデッカー仕様・シティライナーです!!ただ、御多分に漏れずこの車も全高が3.7mを超えます。日本だとスーパーハイデッカーに相当しますが、ドイツではハイデッカーなのです(^^;
特徴的なフロントマスク、フロントウィンドの形状など、まさしくネオプランといったアイデンティティを感じます。ネオプランも①で掲載したMAN Truk & Busグループに属するので、エンジンは375kW/510馬力を発生するMAN D26エンジンを搭載しています。環境対応エンジンを標榜しつつも、日本のエンジンとは出力が全然違いますw
⑦VDL Bus International Futura FMD2-129(推定)
当記事の最後は、ドイツではなくオランダの会社であるVDN Bus & Coachesが製造する2軸車・フートゥラ(Futura)FMD2-129(推定)です。フロントとリアの切れ長なランプ類が特徴的でカッコいいですね!日本ではほぼ見かけることの無い車ですが、どっかで導入実績とかあるのかな??
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ここまで、都市間輸送を中心としたバス車両をご紹介してきました。ドイツにあっても、観光客やビジネス客などを中心に高速バスの利用が旺盛で、観察していたバスターミナルでは次々とバスが入線してきて面白かったです!
誤解がないようにお伝えしておきますと、ドイツにおける「ハイデッカー(HD)」とは、日本でいうところの「スーパーハイデッカー(SHD)」に相当します。日本における「ハイデッカー」は、ドイツだと「ミドルデッカー(MD)」という分類となるようです。
以前として高さ等の明確な基準は分からないながらも、ドイツでは3.5~3.6mくらいの車体がMD、3.7~3.8mくらいの車体がHD、そして4.0mのダブルデッカーという区分けになっていることが読み取れます。
やはり、国が違えばバスのスケールも色々と違って面白いですね!私自身にとっても良い勉強になった今回の観察でした。