夜のバスタ新宿に降り立ち、ここからは夜行バスで大阪を目指します。狙うは、クレイドルシート搭載の2階建て車両で運行される
グランドリーム27号です。
伊那市からの旅路を共にした京王バスのセレガを見送り、私はバスタ新宿の4階へと歩を進めます。
夜のバスタ新宿といえば、夜行バスがひっきりなしに発着する圧巻の光景を楽しめることで有名ですが...さすがに昨今の情勢を反映してか、人でギッシリとはならない様子。それでも、乗り場や待合室には昼だと考えられないくらいの人が行き交い、時には行列ができる便もありました。夜の都市間輸送における需要の高さを感じます。
お馴染みのCエリアのベンチに腰掛け、次々と発車する夜行バスを眺めていると、巨大な影がバスタのスロープを上がってきたのが見えました。お目当ての車が入線してきたようです。
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グランドリーム27号(東京・新宿-大阪線)
23:10 東京駅発(23:50 バスタ新宿発)→大阪JR高速BT・USJ行き
ジェイアールバス関東D670-19503号車
車種:バンホール アストロメガ/InterCity DD
型式:TDX24
年式:2019年式
ナンバー:足立200か4083
所属営業所:ジェイアールバス関東 東京支店
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狙い通り、アストロメガがやってきました!
※正確にいうと、TDX24は観光用途がアストロメガ、路線用途がInterCity DDとして区別されていますが、当ブログでは便宜的にどちらもアストロメガと呼称することとします。
この圧倒的な存在感...やはり2階建てバスの迫力には格別なものがあります。
昼行便ではお世話になったことがありますが、夜行便での乗車は初めてなので、期待が高まります。
車体前方の側面には『クレイドルシート』の絵柄が燦然と輝きます。
まさしくエアロキングの後継として導入されたこの車は、2階部分にグランシート(3列独立)と、1階部分にエコシート(4列)をそれぞれ備えています。最新型の2階建てバスと豪華なシートという、至れり尽くせりな組み合わせです。
・・・おや?
後ろにもアストロメガがいる!
手前側の車が私の乗車するD670-19503号車で、奥側の車は新設されたばかりの江東ナンバーを冠するD670-20503号車(江東200か12)です。ジェイアールバス関東が誇る2階建て車両が2台並ぶと、さらに迫力が増しますね!
さてさて。
私の乗るグランドリーム27号の乗車扱いが始まりました。さっそく、車体の中扉から乗車していきます。
座席はもちろん2階の最前席です。夜なので前面展望は無理なのですけど、せっかく2階建て車両に乗るなら...と思いまして笑
2階席のシートはこんな感じです。
ゆったりとした幅広の3列独立シートです。「ゆりかご」を意味する "クレイドル" シートということで、座ってみると程よいホールド感で体を支えてくれるシートとなっています。
このシートの最大リクライニング角度は136°です。また、リクライニング時に座面も前方に動く「チルト機能」が採用されているのが、このシートの最大の特徴。これにより、リクライニング時にも体に負担をかけずに快適な座り心地となるようです(ジェイアールバス公式HPより)。
各座席には、USBコンセントが装着されています。
早速にケーブルを差し込み、ありがたくスマホを充電させて頂きました。
頭上には特徴的なデザインのサービスユニットがあります。スピーカー・読書灯・エアコン吹き出し口が一体となったユニットです。
このデザイン、いかにも欧州のバスを感じさせるので、私は結構好きです。
一般的にはなかなか足を延ばしづらい最前席ですが、今回乗車した車両は足元も広々。
体を延ばし、ゆっくり休めそうです。豪華で快適な装備に包まれ、大阪への夢路を行くとしましょう。
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定刻となり、バスがゆっくりと動き出します。
夜行便ということで、カーテンが全て閉め切られていましたが、すっかりお馴染みのバスタ新宿から出発するルートは、バスの揺れなどからどこを通っているかおおよそ察しがつくというものです(^^)
乗車バス停はここで終わりなので、しばらくの後に消灯となりました。
おお、青い!
カッコいいですね。青い常夜灯なんて初めてです!
出発からおよそ1時間。バスが徐々に減速を始めました。最初の休憩場所である鮎沢PAに到着です。
ここからは滋賀県の土山SAまで開放休憩がないそうなので、お手洗いを済ませ、飲み物を調達します。照明も少なく、静かなPAなので、雰囲気が良いです。
少し離れた所には、バスタで後ろに並んだグランドリーム329号の姿がありました。
車両の混同を避けるためか、駐車も反対向きでした。
休憩は20分間と長め。闇夜に輝くアストロメガの車体も拝めましたし、ちょうどいい気分転換になりました。
バスはその後も夜の高速道路を西進。静岡県の三ヶ日で乗務員交代のための短い停車があった後は、再び関西を目指して走ります。
それにしても、夜のアストロメガの走りはなかなか良いです。エアロキングとは異なるフワフワとした揺れが、絶妙に眠気を誘ってくれます。車高があるので、静かに体を横たえているとどうしてもロールを感じてしまいますが、それも慣れれば気になりません。
あんまり後ろの方のご迷惑になってもと思い、少し浅めのリクライニングにしていたのですが、それでも十分に休めます。もっとも、途中でそれに気づいた後席の方が、「もっと倒していいですよ」と言って下さったので、途中からは更に快適になりました。ご厚意に感謝です。
体にフィットした快適なシートに、ゆったりとした揺れ。静謐な車内に、付近を走る大型車の走行音が時折聞こえ、さしずめ子守唄のようです。私も気づけば眠っていました。まさに「寝落ち」という表現がしっくりきます。これなら長距離移動も苦にならず、安心して寝ていられます。おやすみなさい...
Zzz...
5時ごろ。
ふと目を覚ますと、バスが減速を始めています。「はて、土山にはまだ早いはず?」と思っていたら、停車後に運転手さんから休憩場所を土山SA(滋賀県)から御在所SA(三重県)に変更した旨のアナウンスが入りました。たぶん、土山が混雑していたんだなと思い直し、少し早めに訪れた2回目の開放休憩を楽しむことにしました。
EXPASAと名乗るだけあり、未明の御在所SAはなかなか賑わっていました。しかし外の空気は冷たく湿気を帯びており、少し肌寒く感じます。
ここでも、休憩時間は20分とのこと。今回も長めの休憩なので、写真を頂いたりしながらゆったり過ごします。
アストロメガの夜の姿は、やっぱりカッコいいですね!
ふと後ろへ回ったら、リアの方向幕が「大阪・USJ」の表示と、「乗降中」の表示が交互に点灯していました。
そんな変化もひとしきり楽しんだら、再びバスに揺られます。発車時刻は5:15でした。
バスは、ここから先にある亀山JCTから名神高速へと入りました。草津PAで点検のための短い休憩がありましたが、開放休憩ではありませんでした。しかし、ここまでくれば大阪ももう少しです。
さすがに6時前ともなると、周りが少しずつ明るくなってきたのが分かりました。カーテンの隙間から見える光が徐々に青みを帯びた光に変わっていきます。暫くすると車内が点灯され、モーニングコールが入りました。まだ頭も体もぼーっとしていたので、何時ごろだったかは覚えていませんが...
あたりがすっかり明るくなった頃、バスは一般道へと降り、大阪駅JR高速バスターミナルを目指して走ります。相変わらず景色は見えませんが、到着を告げるアナウンスが入ったことから、到着が近いことが分かりました。私はここで降車なので、荷物をチェックして降車準備です。
案内放送と減速の仕方から、バスが大阪駅JR高速バスターミナルへとゆっくりと入っていくのが伝わります。バスはターミナル中央の降車場につけられ、ドアオープンです。定刻より20分ほどの早着でした。
運転手さん、長時間におよぶ夜間の運転、本当にお疲れ様でした。ありがとうございましたm(__)m
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結局、だいぶ早めに大阪へと到着してしまいました。空き時間どうしようかなぁと考えていたら、先ほど乗ってきたD670-19503号車が回送表示で出発していくところでした。
大阪駅でお客さんが全員降りられたようです。せっかくですから、最後までしっかりとお見送りします!
ここから先は、アルペン伊那号で伊那へと一気に帰ります。なので、この後はすぐに大阪を離れなければいけません。早着した分を足し合わせても大阪滞在時間は約50分です(時刻表上では29分の予定だった)。高速バスを使うのに、我ながらなんというチキンレースでしょうか...
とはいえ、お陰で予定よりも大幅に乗り換え時間が稼げました。その時間は朝食を食べたり、阪急梅田バスターミナルに移動したりといった形で有効に使わせて頂くことが出来てよかったです。
次回の記事では、この旅のフィナーレであるアルペン伊那号での戻り旅の模様をお送りしていきたいと思います。引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。